ぼくには、もし障がいがなかったらどういう人生になっていたか、という憧れのようなものはない。障がいも含めてのぼくなのだ。なかったら性格も違っていたと思うけれど、そんなのは嫌だ。今の自分がいい。
足るを知る、というのがとてもしっくりくる。今あるもので十分なのだ。
幸せになるコツは執着しないこと。執着してしまうと、それを手にいれることに苦心することになる。もしくは持っているものを失うことが怖くなる。理想の自分とのギャップに悩むことになる。
社会だって同じ。もっと領土が欲しいとこだわると、戦争が始まる。今十分快適に暮らしているのにね。もっと欲しくなって、強欲になってしまう。
本当にそんなに必要だろうか。一人の人間なんて小さなものだ。世界中に別荘を所有していたとしても、全部に同時に滞在することはできない。メインで暮らす自宅があるわけだし、遠方に自分の別荘を持たなくったって、ホテルを利用することもできるじゃないか。所有する必要ある?
所有というのも、とても厄介な概念でね。お店の品物は、お金を払ったとたん、持ち帰っていいことになる。作った人と買った人との間で、取引が終わって、所有権が移ったから。お店というのはそういう仕組みで動いているという共通認識がある。売り場に置いてあるぶどうは、買ってからじゃないと食べられないだろう?
手に入れた物は、家の中に置いて鍵をかけておく。自分のものだから、奪われたら大変と考える。窓は閉めたかな、鍵は本当にかかっているかな、泥棒が入ったら困るから、監視カメラでずっと撮影し続けておこう。
ほら、集めたものに執着して所有し続けるって、心にとっては大変なことだろう? なくならないように心配し続けることになるんだから。
あれ? この大変さを持ち続けることって本当に幸せかな? すごく不自由じゃない?
何も持たずに生まれてきて、死後の世界へは何も持っていけない。唯一残るものといえば、自分自身だけだろう。それなら、自分を好きであれば、もう全て満たされているんだ。
だからぼくは自分が好き。

関 宏貴

長野県生まれ。ベストライフなんば利用者。 地球を冒険してから、京大、Appleなどで働き、ベストライフに辿り着く。 うつ病、強迫性障害、てんかん、ASD、HSP。ささやかでシンプルな生活を好む。 ベストライフで書いた著作に「HSPさんが自分の魅力に気づくための15のヒント」がある。