
ぼくには、読書の感想を共有してみたいという欲がない。ごく個人的に楽しめれば、それでいいと思っている。
本を読むことはとてもいいことだと押し付けたい気持ちもない。興味がある人が、読みたければ読めばいいと思う。映画や、ゲームやSNSと同じ。楽しくなかったら、無理してやる必要はない。
読書はいいことである、っていう風潮は何なんだろうね。学校などで教え込まれてるんだね。そんな崇高なものではないし、推奨しすぎてもかえって人は躊躇ってしまうだろう。読ませられるなんて嫌だから。
情報を得ることはできるけれど、読んでいるだけでは受け身で、考えずにインプットを続けているに過ぎない。
これだと、この人の意見はこうで、これはこういう意味である、という情報だけが増えていくことになる。ただの「その分野に詳しい知識人」になってしまう。
得た知識をもとに、自分で考えるということもやらないと、読書を本当の栄養にすることはできない。
時には反発したり、別の角度から見たりする必要がある。例えば、哲学の本を読んで「この人の考え、なんか違うな」って感じたら、そこで終わりじゃなくて、「じゃあ、ぼくはどう思う?」「この問題について、自分ならどう考える?」って自問自答してみる。
そうやって、自分の頭で考えて初めて、読書が「知識の詰め込み」じゃなくて「自分を成長させる道具」になる。必ずしも、書いてあることの方が、あなたより正しいとは限らないよ。
タイパといって、手っ取り早くあらすじと主張を理解すればその本を全て吸収したということになるという考えも、そういうスタイルの人もいるんだろうな、と思う。
ビジネス本や自己啓発本なら、あるいは有効なやり方かもしれないけど、小説には向かないと思う。
ぼくは何かためになるからやっているわけではなくて、読んでいる時間が楽しいからやっている。きっと趣味というのは、何でもそうだろう。
そうやっていつの間にか身についたものが、力となって、仕事として自分を支えてくれるって素敵なことだよね。

関 宏貴

長野県生まれ。ベストライフなんば利用者。 地球を冒険してから、京大、Appleなどで働き、ベストライフに辿り着く。 うつ病、強迫性障害、てんかん、ASD、HSP。ささやかでシンプルな生活を好む。 ベストライフで書いた著作に「HSPさんが自分の魅力に気づくための15のヒント」がある。