障がいに打ちのめされていると、自分が周りから取り残されている気がする時がある。ゆっくりになりすぎているんじゃないかと。
そういう時は、他の人の様子に目を向けてみる。ぼくは、地下鉄の駅で、ホームに向かって階段を降りている人たちを見ていた。
みんな一段ずつ、ゆっくり確実に降りていく。ぼくと変わらない速度だ。やっぱり人間の速度ってこのくらいなんだ。ぼくが特段遅いわけではない。
活躍しているように見える人だって、みんな1日は24時間であって、特別多くのことをできているわけではない。やりたいことを、一つずつ積み重ねているだけだ。
人間である以上、日常で何かしらやる時には、それなりに必要な時間がかかる。書類を落として、拾い損ねたら、もう一度屈んで拾う時間に、そう大した違いはないのだ。
そういう確認は、ぼくにある程度の安心をくれる。むしろ、ぼくはけっこう早く動いている方じゃないか?
君もゆっくりになりすぎてるわけじゃないよ。みんな、そんなもんだよ。
作業をするときに、カフェとかに行くのは、雑踏が心地いいのもあるけれど、他の人だって人間なんだから、そんな特別なことをしているわけではないと、確認できるからだと思う。
そういう点では、ぼくは在宅ワークよりも会社に来るほうが好きだ。程よい緊張感もうまれるし、ペースを共有できるから安心する。
関 宏貴
長野県生まれ。ベストライフなんば利用者。 地球を冒険してから、京大、Appleなどで働き、ベストライフに辿り着く。 うつ病、強迫性障害、てんかん、ASD、HSP。ささやかでシンプルな生活を好む。 ベストライフで書いた著作に「HSPさんが自分の魅力に気づくための15のヒント」がある。