
うつ病で気力が湧かないから、やる気が出ないことを無理してやってみることにした。
やだなー、めんどくさいなーと思う場面に出会ったら、あ、ぼく気力なくなってるなとわかるから、あえて手に取って、手や足を動かしてみる。
すごく気が進まないんだけど、うつがそう思わせてくるんだと仮定して、反対のことをやってみる。
やる気が出ない時(まあ常にそうなんだけれど)は、やらなきゃいけないものを見つめて、触れもせずにため息をついていた。
ひたすらめんどくさくて、先延ばしにしていた。うつ病だから仕方ないよね、と自分に言い訳していた。
そうすると、ほんとにできないまま、気づいたら2年とか経ってる。
やらなきゃいけないことの全工程を思い浮かべるとめんどくさくなってくるので、1度に1つのことだけを考えて、それを積み重ねていくといい。
紐がこんがらがっていたら、まずは結び目だけをみて、とりあえずそこを解けばいい。緩くなったら物事は進む。進むと、できちゃいそうだという目処が立つ。そこまでくると勝機が見えてくる。
最初のステップをやってみて、やっぱりダメだと思ったら、1分でやめてもいい。手をつけた1分があったという実績は残せる。一定時間取り組み続けなければいけなくなる、と考えることが、気を重くする。
あとは、完璧主義が邪魔をしてくる。一通りやらなきゃいけないとか、読み始めた本は読み終わらせないといけないとか。
「ひとつ」とまとめられたものは、丸ごと体験しなきゃいけないとか、使いこなさなければいけないとか思ってる。
でもさ、時代はすっかりつまみ食いになっている。音楽だって、アルバム単位で聴かなくなったし、動画だって、切り抜き動画を見ていたりする。
これだけ情報が多いと、まとまった「ひとつ」にこだわることなんてあまり意味がないことがわかってくる。
タイパといって、効率的にエッセンスや筋を追うけれど、物語の筋を知りたいのはなぜなの?っていうことになる。知っている、という実績を作るためなのか、友達と話を合わせるためなのか、内容を知っていることを知識だと思っているのか。
選択肢が多い時代だから、気が進まないものはバッサリ割愛して、速くも多くもなくていいから、好きなことだけやって楽しむ時代になったのだと思う。
趣味は細分化しているから、たくさんの共感を得なくていい。速く、たくさんを追い求めてきた結果、各自がゆっくり好きに生きようっていうところにたどり着いたんだと思う。

関 宏貴

長野県生まれ。ベストライフなんば利用者。 地球を冒険してから、京大、Appleなどで働き、ベストライフに辿り着く。 うつ病、強迫性障害、てんかん、ASD、HSP。ささやかでシンプルな生活を好む。 ベストライフで書いた著作に「HSPさんが自分の魅力に気づくための15のヒント」がある。